茶道具制作で培った技術と知識を活かす「Shop&Gallery竹生園」

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今回はRiFUKURUと同じ「残ったものを捨てずに活用したい!」という想いで モノづくりをされている会社があると聞き、京都の長岡京市にある「Shop&Gallery竹生園」に行ってきました。

猛烈な寒波の翌日で、街のいたるところに雪や氷が残っているなか到着すると、 「Shop&Gallery竹生園」を運営されている、高野竹工(たかのちっこう)株式会社の井澤さんが暖かい笑顔で出迎えてくれました。

こちらでは、竹材をメインとした茶道具や食器、日用品を見て触れて購入することができます。たくさんの工芸品や暖かい色の照明、窓から見えるお庭がとっても素敵で心が安らぐ場所です。 そんな中で、竹材や工芸品の奥深い話をたっぷりと聞いてきました!

RiFUKURU staff:高野竹工の事業内容を教えてください。

井澤さん:高野竹工は京都固有の厳選した竹材を用いた、上質な茶道具の制作からスタートしました。 その経験を軸に、現在は竹以外の素材も用いて、茶道具だけにとどまらず、日用品なども幅広く制作しています。

伝統工芸は各工程を分業しているところが多い中、高野竹工では竹林の管理から、竹の加工、商品化まで一貫して行っているのが特徴です。

RiFUKURU staff:すべての工程に携わっているんですね! それによってどんなメリットがありますか?

井澤さん:たくさんありますが、特に竹林を管理していることで、 できあがったキレイな竹材を買うだけでは見つけられないものをたくさん見つけることができます。

高野竹工は「竹花入れ」という、竹を切って作られた花入を制作しています。 竹花入れは寸法録と呼ばれる、茶道の世界で美しいとされる比率が決まっているのですが、 高野竹工では、もちろんその考えを大切にしつつ、竹林の管理をしている伐り子が美しいと思うものも活かしていきたいと思っています。

茶道の正解には当てはまらないけど美しいと感じるものや、 途中で成長がとまった「とまり筍(たけのこ)」等おもしろい形のものを見つけられるのは、 竹林の管理をしているからこそだと考えています。

RiFUKURU staff:新しい感性も活かして、柔軟に製品づくりをされているんですね。 次に、その竹林に生えている状態から商品にするまでの工程を教えてください。

井澤さん:制作工程は、大きく分けて【①伐採 ②乾燥 ③油抜き ④天日晒し ⑤保管 ⑥仕上げ】の6つがあります。

竹はそのままだと水分が多く、カビやシミの原因になるため、伐採後油抜きをして、その後数年かけてしっかり乾燥させ製品化しています。 その中でも、竹花入れでは10~20年寝かしてから加工する場合もあり、その間に割れてしまうものもあります。

RiFUKURU staff:10~20年も寝かしているとは驚きです! 割れてしまったものはどうしているんですか?

井澤さん:以前は焼却処分していたのですが、何か別の商品にできないかと考えて、現在は使えるものをお箸やコップ、アクセサリーなど様々な商品にしています。同じように、竹花入れでは幹の下の方しか使わないため、上の部分は別の商品に活用しています。

RiFUKURU staff:別の商品に活用されているんですね!廃棄を削減する素晴らしい取り組みです。

井澤さん:その商品の一部をご紹介しますね。

■お箸

皮が付いているお箸は、皮の模様をあわせる必要があるため竹の時点で隣同士になっているものを使用し、 20工程に及ぶお箸の加工作業の中で、迷ってしまわないように工夫しています。竹は縦の繊維でしなりもあるので、木材で作るより折れにくく、その分細く仕上げることができます。

■コップ

竹のコップは熱伝導しにくいため、冷めにくく、また手元が熱くならない特性があります。 茶渋がついてしまっても味があるように見え、経年変化を楽しむことができます。

■アクセサリー

竹の節を活かしています。和洋どちらにも合う控え目な艶と輝きが魅力です。軽くて耳に負担がかからないのも嬉しいポイントです。

RiFUKURU staff:素敵な商品ばかりですね。

本日はたくさん興味深いお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました!

普段なかなか知る機会が少ない竹材の世界なので、どんなお話が聞けるんだろう…とわくわくしていましたが、 予想を超えるモノづくりへのこだわりや想いを知ることができました。

お話のなかで、「竹花入れにはシミや蟻が食ってしまった穴も含めて、自然の素材である竹の味わいとして楽しむ文化がある」と聞き、衣類に使われている綿花や麻など幅広い自然の素材に対しても、みんなが完璧ではないものを「味わいとして楽しむ」考え方ができるようになると、社会全体のロスを減らすことができそうだな、と感じました。

実際に商品を見てみたい!という方はぜひ「Shop&Gallery竹生園」に行ってみてくださいね。

高野竹工の商品はオンラインでもお買い求めいただけます。※外部のサイトに接続します

高野竹工(たかのちっこう)オンラインショップ

「Shop&Gallery竹生園」

Address:〒617-0824 京都府長岡京市天神2丁目15-15 錦水亭竹生園内

Open:10:00~17:00 金~月・祝日営業 営業日以外は予約制となります

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